人気ブログランキング |
カテゴリ:センター試験( 7 )
センター古文「夕霧」の現代語訳・解説・・・その5
夜が明けたので、「他人が見聞きするので大人げないことですから、あなたがもうおしまいときっぱりと仰るのなら、その線で行きましょう。あちらに残った子どもたちも、あなたをいじらしく恋慕い申し上げているようでしたが、わざわざ選んで残していった訳もおありだとは思われますが、ほうってもおけませんからとりあえずは私が育てることにしましょう。」と、おどし申し上げなさると、(雲居雁は)『すっぱりしたご性格だから、連れてきた子どもたちまでも、私の知らないところ(落葉の宮邸)に連れておいでになるのかしら・・・』と不安にかられる。

今でも「子は鎹(かすがい)」とは言うけれど、夕霧も子どもを引き合いに出して妻の翻意を促してるわけですな。まぁ七人のうち、姫君3人と乳飲み子の男の子の4人は雲居雁が連れてきたと考えられるのだが、男の子3人がなぜ残されたのかは、ワシには分からない。そのうち知り合いの研究者に問い合わせてみることにする。さて、「らうたげに恋ひ聞こゆめりし」の現代語訳が問題になっている。が、補助動詞「聞こゆ」が訳せればこと足りる愚問だ。




姫君に向かって、「さあいらっしゃい。あなたにお目にかかりに、こうしてこちらに参上するのも具合が悪いことですから、いつもは参れませんよ。あちら(夕霧夫妻の三条邸)でも(残された)こどもたちが可愛らしいので、せめて同じところで面倒を見て差し上げたいのです。」と申し上げなさる。(姫君は)まだとても幼く可愛らしげでいらっしゃる。『ほんとうに愛しいことだ』とお思い申し上げなさって、「母上の御教えに従ってはいけませんよ。ほんとうに情けなく、分別のつかないところがあるのは、とても悪いことなのです。」と言い聞かせ申し上げなさる。


ここでも、姫君は3人いるはずなんだが、どう読んでも一人だけだよなぁ。しかも幼い女の子のようだし・・・。分からんなぁ・・・。まったくなぁ、ワシには源氏の解釈は無理だな。まぁ源氏に限ったことではないけれど。しかし、問題になっている「いざ給へ」はそれこそ古典常識のような慣用句だからこれが分からん者はセンターを受ける資格がない。


でもって、文法の問題が出題されているんだが、こんなものは一週間くらいみっちりとやればすぐに覚えられるものだ。一週間で5点を確実に稼げるんだから、やらんと損だって。


さて、この古文のイケてない問題が祟ったのか、国語の平均点が過去最低だったという。しかし、過去最低だったのは平均点だけじゃないって。


それにしても、随分と時間がかかってしまった。
by obakeland2008 | 2014-02-15 15:04 | センター試験 | Comments(0)
センター古文「夕霧」の現代語訳・解説・・・その4
現代語訳の続きです。

(夕霧は)何度もお手紙を差し上げて、迎えの使いを差し向けなさるが、(雲居雁は帰るどころか)お返事さえない。『まったくこんなに頑固な人とのお粗末な夫婦仲であることよ』と、不愉快にお思いになるけれど、(相手の父親の)大臣の見聞きなさる手前もあるので、日が暮れてからご自分で(迎えに)参上なさる。(大臣の邸宅に着いてみると)「寝殿においでです。」と言って、いつも里帰りでいらっしゃるお部屋には、古株の女房達だけがいる。そして若君たちは、乳母にくっついておいでだ。

A「いまさらになって若々しい(分別のない)ご交際ですね。こんな幼い子どもたちをあちらこちらにほったらかしになさって、どうして寝殿でご交際ができるのでしょう。わたしとは合わないご性格だと、長年よく身に染みて分かっていましたが、こういう運命なのか、昔から忘れられないお方だと思い申し上げて、今ではこのように、ごたごたと子どもが数多くいてかわいくなっていますのを、お互いに見捨てることなど出来ないはずだと、信じておりましたのに。とるにたらないことで、このようになさっていいののですか。」と、ひどくお叱りやお恨みを申し上げなさると、

B「何もかも、(あなたが)『これで最後』とすっかりお見捨てになった私ですから、(あなたのお気持ちが)今になって元通りになるはずもありませんし、(私の方も)なにも無理に(我慢している必要もない)と思いまして。(自分が産んだ)見苦しい子どもたちは、お見捨てにならなければうれしいことでがざいます。」と申し上げなさった。

C「のんびりしたお返事ですね。このまま話を詰めていくと、いったいどなたの名前に傷がつきますかねぇ。」と言って、無理にお帰りなさいというお言葉を口にするでもなく、その夜はそのまま大臣邸に泊まって独りでお休みになった。


さて、「問5」で、この会話文の主体とその内容が問われているんだが、こいつはけっこう難しい。会話と言っても、本文にある通り雲居雁は寝殿にいるから、女房の取次を通してのものだ。どれが誰の会話文なのかは簡単だ。

A 夕霧  B 雲居雁  C 夕霧

ところが、これじゃぁ選択肢の③だけしか外せない。会話の内容を理解するしかないんだが、鍵をにぎるのはBの文章の「今、はた、直るべきにもあらぬを、『何かは』とて」の部分の解釈だ。

{直るはずがないのは}・・・夕霧の気持ちか、それとも雲居雁自身の心の方か?

ここには敬語が使われていないってぇのが、混乱する一大要因になっている。だから、敬語がないから話し手の「雲居雁の心」だってぇ考えてしまうと、アホな作成者が掘った陥穽に自らすすんで入ることになる。まぁちいと文脈から考え直してみようぜ。


それじゃあ、その直前の、「何ごとも、『今は』と見飽き給ひにける身なれば」から考えてみるかい。

ここには敬語が使われているから、{『今は』と見飽き給ひにける}の主体は夕霧だ。だから、見捨てられたの「身」が、妻の雲居雁だってぇのは明白だ。

そいつを踏まえて、夕霧バージョンと雲居雁バージョンで比較してみると・・・。


夕霧Ver

(あなたが)『これで最後』とすっかりお見捨てになった私ですから、(あなたのお気持ちが)今になって元通りになるはずもありませんし、




雲居雁Ver

(あなたが)『これで最後』とすっかりお見捨てになった私ですから、(私の気持ちが)今になって元通りになるはずもありませんし、




これじゃあ、どっちにも解釈可能じゃん・・・。直後の文章を考えたって・・・。



その1
(あなたの気持ちが離れた私ですから)・・・(あなたの気持ちが元にもどるはずもなく)・・・(どーして・・・だろうか。)


その2
(あなたの気持ちが離れた私ですから)・・・(私の気持ちが元にもどるはずもなく)・・・(どーして・・・だろうか。)



どっちでもいいんじゃないかい?高校生の知識でここまでの精細な解釈を要求するのは無理があると思いますがねぇ。


こいつを出題したどっかの公立大学の先生は、受験生が納得するような解説が出来るんだろうか。


by obakeland2008 | 2014-02-08 14:55 | センター試験 | Comments(0)
センター古文「夕霧」の現代語訳・解説・・・その3
やっと現代語訳に入ります。一度じゃ終わりそうもないので、完成したら順番に読めるように、つなげて表示する予定です。

今、他の解説を読みたい方は、右のカテゴリの「センター試験」をクリックしてください。


では始めますよ。

(夕霧と落葉の宮との結婚を聞いた)三条殿(雲居雁)は、『もうこれでお終いみたいだわ。』と思ったものの、(心の片隅では)「『(生真面目なうちの人に限って)まさかそんなことをするかしら・・・。』と一方では信じていたけれど、『真面目な男の浮気は(元の妻を)まったく振り返りもしないもの・・・』と聞いていたのは本当だったんだわ」と、夫婦仲(のもろさ)がよく分かったような気がして、『絶対に夫の無礼な仕打ちを見るのは嫌よ!』と、お思いになったので、父の邸宅に「方違えに出かけてきますよ。」という口実でお出かけになったところ、ちょうど姉の女御が里においでの時だったので、お目にかかると、少しはおもしろくない気分が晴れるような気がなさるので、いつものようにすぐには(ご自分の家に)お戻りにならない。


最初から難しいよな。[(ア)いかさまにしてこのなめげさを見じ]の現代語訳が問題になっているが、その前の[世を試みつる心地して]の部分の解釈は絶対に無理だって。まぁ問題の一文は、「見じ」の二文字であらかたケリがつく。「じ」が打消しの意志だから、「見たくない」としか解釈できん。

[いかさまにして・・・・じ]という構文は他には知らんが、{なんとしてでも・・・したくない}・{絶対に・・・したくない}くらいの意味だ。

似たような構文に、[疑問の副詞・・・意志・願望の単語]と言う形があって、それは非常に強い願望を表す。そっちの方がよく出題される。

[いかで得てしがな。]・・・{なんとかして手に入れたい。}

[いつしか梅咲かなむ。]・・・{早く梅が咲いてほしい。}


[方違へ]というのは、陰陽道の考え方で不吉な方角を避けるってぇ風習なんだが、当時の人々がいつもいつも真剣に吉とか不吉とかを信じていたわけではない。この場面のように出かける口実に利用されることが多かったらしい。たとえば、女から訪れのないのをなじられた男が「方塞がりてなむ・・・。」(まずい具合にそちらの方角が塞がってしまいましてねぇ・・・。)なんて言い訳にする例もある。


ところで、父親の屋敷に行った雲居雁は、ちょうど里に下がっていた姉の女御と久しぶりに対面したんだが、ここでは子連れじゃないぜぇ。いくら姉でも女御と言ったら天皇(今では院ですが)の嫁さんだから、父親の屋敷だってそれ相応の寝殿をあてがわれているし、雲居雁にしたって居住まいを正して対面するに決まっている。そうは言っても姉妹だから、愚痴ることで少しは憂さ晴らしになったみたいですな。



[例のやうにも急ぎ渡り給はず。]の部分も分からなかった受験生が多かったんじゃないかと思われますな。雲居雁は怒って実家に戻ったはずなのに、この先いったいどこに行くんだろか・・・と思うよねぇ。まぁしかし、[例のやうに]・・・{いつものように}とあるから、この人はちょくちょく実家に戻ることがあったみたいだね。だけど、夫婦関係がラブラブな状態のときには、長居をせずにいっつも急いで自分の家に帰っていたらしい。まぁ「子どもたちが待ってますから・・・。」とか、「旦那が・・・。」とかなんとかいいながら。けれども、今回だけは帰ろうとしない・・・と言うわけです。

ちなみに、当時の一流貴族の屋敷は120m四方と言われている。本格的な野球場がすっぽり収まる広大な土地に寝殿造りが設けられていたのです。




(雲居雁が実家に戻ったということを)大将殿(夕霧)もお聞きになって、「案の定だ。まったく実に短気でいらっしゃるお方だ。そういえば父親の大臣もやはり、年配者らしい重々しいところがほんとうにかけていて、すぐに思ったことを実行なさる派手なご性格の父娘だから、『(私を)けしからん、見たくもない、話も聞きたくない』と、困ったこと(本格的な離婚話)をお始めになるに違いない。」と、自然胸がどきどきなさって、三条殿(雲居雁の屋敷)にお戻りになると、お子様方も、半ばは残っておいでで、(雲居雁は)姫君たちと、そのほかは本当に幼い子をお連れになって出ていかれたので、残されたお子様のうち、ある方は父親の夕霧を見つけて嬉しがってまつわりつき、ある方は母上を恋しがり申し上げてお泣きになるのを、「可哀そうに・・・。」とお思いになる。


さて、妻が子どもを連れて父親の屋敷に行ってしまったということを聞いて、夕霧は落葉の宮の元から帰宅するのだけれど、ここも、夫婦の間に7人もの子どもがいるということを知らされていない受験生には読み取るのが難しい場面だ。どうして出題者は子どもの数に触れないんだろうか。結婚11年で7人の子沢山なんて、想像できないって。

それに、夕霧は雲居雁の父おとどを良くは思ってない。それは、前に書いたように、幼馴染の雲居雁との恋仲を引き裂いた当人だからなんだよね。


ちなみに、夕霧の子どもたちは、浮気相手の内侍の産んだ子も含めると、総勢12人もいる。表にしてみますか。
d0150949_17253974.jpg


さて、雲居雁が連れて行ったのは、女の子全員と六男の計4人だと思われます。系図から分かるのは、内侍との間の長女が一番年上で、雲居雁の六男が乳飲み子だろうということで、他の子の年はよく分からない。それにどうして全員を連れて行かなかったのかも分からない。ただ雲居雁の子どもの中での一番の年かさの子だってせいぜい12歳のはずだからねぇ、他の残された子どもたちだってまだまだ母親が恋しいはずだよな。


[(X)「心苦しとおぼす」]の主体とその心情が問われている。この一文は全体としては夕霧が主体なんだけれど、途中に雲居雁を主体として経緯が挟み込まれて、ちょいとおかしな構造になってるから、ちょいとわかりづらい。この部分は、冒頭のリード文の「三条殿が、子どもたちのうち、姫君たちと幼い弟妹たちを連れて、実家に帰る」をヒントにすると分かりやすくなる。


しかし、この出題者の「姫君たちと幼い弟たち」という書き方だと、三人の女の子のうち姫君は次女と四女で、五女は姫君じゃないってことになるよな。そうかなぁ、原文には「姫君たち、さてはいと幼きとをぞ」とあって、三人の女の子全員を姫君と解釈すべきじゃないのかねぇ。



さて、またまた長くなってしまったから、続きは次回ということで・・・。
by obakeland2008 | 2014-02-04 18:29 | センター試験 | Comments(0)
センター古文「夕霧」の現代語訳・解説・罵詈雑言・・・の2
※徐々に完成させますが、他をご覧になる場合は右の「カテゴリー」の「センター試験」をクリックしてください。

さて、うだうだ言わずにセンター試験で出題された部分を、訳してみます。が、ワシのような素人親父の手におえる文章ではないから、アンチョコとして、この二種類を使った。
d0150949_20235011.jpg

新潮の古典集成と、玉上さんの『評釈』・・・。どちらも古いんだが、手元にこれしかなかったから仕方がない。別に論文を書くわけじゃないから、こんなもんで十分ですな。

解説の年立(登場人物の年齢)は、すべて『評釈 別巻二』に従った。


で、これが問題の「問題」。一応クリックで拡大するんだけれど、新聞をスキャンしたから汚いし見づらい。きちんとしたのが見たかったら大手の予備校のHPに行けばPDFで見られるはず・・・。いつまでアップしてるか不明ですが。
d0150949_20353513.jpg

d0150949_20354252.jpg




出題された部分は、『源氏物語』という一大長編の一部であるから、他の箇所と有機的につながっているのが当たり前で、どの辺まで掘り下げるかってぇのが、ちょいと悩みだったりする。どーしよーかのぅ・・・。

これを読む人が、一般的な高校生だと仮定して、そのレベルに合わせて説明することにしますか。まぁ偏差値60くらいで行きましょうかねぇ。


まずは、現代語訳に入る前に、設定と言うかあらすじというか、該当箇所までの話の流れを追ってみます。


登場人物

夕霧(夫)
父親は光源氏、母親は葵の上。29歳。美男な貴公子だが源氏とは違って女の扱いになれてない。かなりな野暮天(ヤボテン・・・イケテない男)だ。


雲居雁(嫁)
致仕のおとどの娘。柏木の異母妹。31歳。


落葉の宮
朱雀院(元天皇で源氏の異母兄)の第二皇女。柏木の嫁。


多くの子どもたち
実に7人(異本によっては8人)の子沢山だ。




出てこないけれど大事な人物

おとど
元太政大臣で、雲居雁と女御、柏木の父親。


柏木
元々は朱雀院の皇女三の宮を嫁に欲したが、朱雀院の意向で三の宮は光源氏の正妻に、柏木は二の宮(落葉の宮)をあてがわれる。が、三の宮に密かに激しい恋情を抱き、ついには密通を遂げるも、源氏の知るところになり、心痛のあまり33歳の若さで憤死する。病床の柏木を見舞った夕霧に落葉の宮を託す・・・これがきっかけで夕霧は落葉の宮に惹かれていくことになる。




夕霧と雲居雁の夫婦生活

元々は同じ屋敷(「おとど」の母親の家)で育った幼馴染同士で、幼いながらに相思相愛の仲になるんだけれど、雲居雁を天皇にと考えていた「おとど」に無理やり仲を引き裂かれてしまうのさ。それがこの場面から十七年前の話で、夕霧12歳、雲居雁14歳の時のこと。しかし二人は六年の空白をものともせずに、幼いころからの恋心を貫き通して無事に結婚に至るのよ。

その後の雲居雁は堅物の夕霧の愛をほぼ独占して・・・身分の下る典侍(ないしのすけ)という愛人はいたんだが・・・11年間の平和な夫婦生活を送ってきたわけです。


ところが、柏木に託された落葉の宮を律儀に見舞ううちに、夕霧は次第に彼女に惹かれだしてしまうんだな。もとが堅物で生真面目なだけに女に狂い始めると適当なところで止めるってぇことが出来なくて、すったもんだの挙句、なんとか結婚の体裁までの仲に持って行くのよ。

だけどですねぇ、落葉の宮はかりにも皇女だし、立場上から二度の結婚なんて出来ない。それに柏木の不義理は知らなかったにしても、あんまり愛されない不幸な結婚生活に懲りていたし、そもそも相手の奥さんは柏木家の人間だし、ついさいきん母親を亡くしたばかりだし・・・ってぇ、夕霧を受け入れられない理由が山ほどあって、頑なに心を閉ざし続けるんですわ。



この問題文は、はたから見ると「結婚」したように思える場面に続く文章なんだよね。ところがねぇ、このおかしな問題を作ってしまった、どっかの国立大学の先生は、本文を断りなくカットして使ってんの。


かくせめても見なれ顔につくりたまふほど、三条殿、「限りなめり。」と、・・・こんな文章なのに、出題は赤字のところから始まるのよ。酷くない?

現代語訳はこんな感じ。

(夕霧が落葉の宮の屋敷で)このように無理やり落葉の宮と結婚して馴染んだような顔をとりつくろいなさっているときに、(一方)三条殿(雲居雁)は、「もう終わりみたい!」と・・・。


こうして雲居雁は実家の大臣邸に子どもたちを連れて帰ってしまうんだけれど、長くなったから、続きはまた今度ということで~。


簡単な系図を載せておきます。
d0150949_2031193.jpg


質問やご意見は、右の「お問い合わせ」からどうぞ。別にコメント欄を使ってもいいけれど、アタシャ気に入らないとすぐに削除するからさ。
by obakeland2008 | 2014-01-28 20:39 | センター試験 | Comments(0)
センター古文「夕霧」の現代語訳と解説、そして悪口・・・の1。
※徐々に完成させますが、他をご覧になる場合は右の「カテゴリー」の「センター試験」をクリックしてください。  2014/2/4 追記


先日行われたセンター試験の古文は去年にましてしょーもないものだった。ちょいと「しょーもない」点を挙げておく。

まずは、出題箇所の内容なんだが、堅物の中年男の浮気騒動ってぇ下らんものだ。去年は、物語の約束事がきちんと守られている男女の逢瀬が主題だったから、勉強してる受験生ならけっこう点数がとれたはずだ。今回は浮気をした・・・と言いますか実は浮気じゃなくて超本気だから始末が悪い・・・夫に愛想を尽かした妻が実家に帰って戻らないってぇ、実に三文ソープドラマでも扱わんような下卑た話だ。いくら他に出題されていない文章が必要だって言っても、ここは選ばんだろう。

次に、リード文と注のいい加減さ。「注」のいい加減さには、今ここで扱うと煩雑に過ぎるから、後から触れることにする。この説明書きは、受験生の方を向いていないし、中身も実に不親切だ。面倒だが全文を引用して載せておく。

次の文章は『源氏物語』(夕霧の巻)の一節である。三条殿(通称「雲井雁)の夫である大将殿(通称「夕霧」)は、妻子を愛する実直な人物で知られていたが、別の女性に心奪われ、その女性の意に反して、深い仲になってしまった。以下は、これまでにない夫の振る舞いに衝撃を受けた三条殿が、子どもたちのうち、姫君たちと幼い弟妹たちを連れて実家へ帰る場面から始まる。これを読んで、後の問い(問1~6)に答えよ。


その女性の意に反して」といわれてもなぁ、「夕霧の巻」を知らん受験生には、なんのことやらさっぱりだろうに。出題箇所の中で、夕霧が自分の置かれた状況を自省する一文があるから、こんなおかしなリードになっちまうわけで・・・。といいますか、ことの経緯が複雑だから、やっぱりここを問題文にするのは苦しい。

そして、当人たちが「深い仲」になったかどうかってぇのは微妙なところで、はたから見ると「正式に結婚」したように見える「間柄」になったのは事実だ。夕霧の本文を読んでも、男女関係が成立したという描写はワシには読み取れなかった。新潮の『集成』にはそんな解釈はなかったが、玉上さんの『評釈』には「夕霧、宮と契る」ってぇ見出しが立ててあった。が、どこをよんでもやっぱりそんな場面はない。よく分からんから、友人の教授に電話して訊いてしまった。彼によると「学会」では「深い仲」になったとみるのが定説なんだとか。あぁぁこんなことは、それこそどーでもいいことだ。

でもなぁ、ワシが自分のブログで書き散らす「どーでもいい」ことと、全国で50万人に課す試験の「どーでもいい」こととは、重要度が天地ほど違うのは論ずるまでもない。





リード文だけでこんなに長くなってしまった・・・。現代語訳とか解説に辿りつけるのか・・・。


しかしそれでもリード文批判は続くんだわ。「これまでにない夫の振る舞いに衝撃を受けた」もねぇ、酷いよなぁ。これじゃ突然浮気がばれたみたいじゃん。古女房の雲井雁は随分と前から旦那の浮気に気を揉んでたんだぜぇ。まぁ「衝撃」を受けたのは相手の女性の立ち位置・・・これがまぁ複雑で、後で解説しますが・・・と、「夕霧」の本気度の高さとに、その原因がある。こんな何もかもをひっくるめた言い方はせんで欲しいのぅ。


さて、一番の問題は、「子どもたちのうち、姫君たちと幼い弟妹たちを連れて」ってぇ出鱈目な部分だ。本編を知らん大多数の受験生たちは、『ん???夫婦にはいったい何人の子どもが・・・。』と考えたはずだ。しかも、この部分は内容と密接に関わりがある。子どもの数くらいは書いてやるのが親切というものだ。しかし、こんな問題を作ってしまったアホナ御仁は、よっぽど子どもの数を知らせたくなかったようで、系図もこのとおり、夕霧夫妻の個人情報保護に気を配っておいでだ。
d0150949_16533191.jpg

これは、試験につけられた関係図をワシがエクセルで作りなおしたものだ。赤字の「君たち」が子どもたちなんだが、これじゃあなぁ・・・。


と、言うわけで、本文の現代語訳と解説はこの次にあらためて載せますわ。
by obakeland2008 | 2014-01-25 12:11 | センター試験 | Comments(0)
センターの「松陰中納言物語」を現代語に直した。
正しい訳は、「現代語で読む『松陰中納言物語』」(山本いずみ著 和泉書院)という本が出ているから、そちらを見てもらうこととして、とりあえずは、問題の該当箇所だけを簡単に訳しておいた。

ほぼ逐語訳にしたんだが、敬語が煩わしくて面倒だった。例によって主語が省かれているから、それをいちいち補っておいたが、分かる人に蛇足だったかも知れん。

一応前記の訳本を予約したから、誤りがあれば訂正することにする。

でまぁ、学生さんはコピーしてもなんにでもご自由に。けれども、教員を生業になさっている方、学校・塾・予備校・出版社等の営利への使用は禁止です。まぁ使う人はいないと思いますが、この文章のすべての権利及び責任はブログ主が有します。


で、これが本文なんだが、新聞からスキャンしたから見づらい。拡大するはず。
d0150949_21461639.jpg



登場人物

右衛門督

女君

下総守・母親・弟君・右近


現代語訳

 翌朝、後朝(きぬぎぬ)の文をお贈りになるのも、どうにも手立てがおありにならないので、・・・(ア)いと心もとなく過ごし給ひけるに・・・たいそう気をもんで時を過ごしていらっしゃったところ、主人(下総守)が参上なさって、「昨日の浦風はお体に染み込みなさいませんでしたか?それがとても気がかりで。」と、申し上げなさったので、(殿は)『琴の音のことであろうか』とお思いになって、「素晴らしい色香でございました。唐琴でしょうか。見てみたいものですね。」とおっしゃると、意外なことに(琴を)取り寄せたのだった。(殿は琴を)入念にご覧になって、「あぁこれなら波の音にも負けないで美しく響いたのももっとものことだなぁ。」といって、箱にお入れになるときに、お手紙を紐に結び付けさせて、「これを、さきほどの方に。」とお置きになったので、(女君の部屋に)持って行った。女君は、(殿が)琴をお取り寄せになったのを、『どうなさったのかしら』とお思いになって、(戻された琴を)開けてご覧になると、・・・(イ)飽かざりし名残をあそばして・・・満ちたりないままに別れた思いをお書きになって、

「A 逢瀬を交わした後こそ物悲しいものです。逢いたくてもつい人目を気にしてしまって・・・。

   だから今夜は早く人を寝かせて」

とあったが、女君はどうしてよいやらお分かりにならない。幼い弟君が、「お客様のところに参上したいのですが、(差し上げるはずの)扇を海へ落してしまいました。代わりのをいただきたいのですが。」とおっしゃりにいらっしゃる。女君は『どうしてそのくらいたやすいこと』とお思いになって、扇の端に小さく(歌を)お書きになって、「この絵は念入りに美しく描きましたから、殿にお見せ下さいね。そうしたら、小さな犬をきっといただけるはずですよ。」とにっこり微笑みなさるので、(弟君は)喜んで、母君のところに参上なさって、「扇をいただきました。」とお見せになると、(母君はめざとく)歌を見つけなさって、『おかしいわねぇ』とお思いになる。(それでも)『やはりもう少し様子を見たいわ』とお思いになって、(弟君の)後について、屏風の陰から中の様子を覗いていらっしゃる。「この扇の絵をご覧になってください。姉君がこんなに綺麗に。」とおっしゃるので、(殿が見ると)ほんとうに・・・(ウ)いみじくこそ書きなしつれ・・・ことさらに美しく書きあげてあるなぁと思ってご覧になると、

「B 悲しみも忍ぶことも何も考えられません。別れた時の乱れた心では。」(とある。)

 (殿は)『あぁこれは今朝の琴の歌の返事だろう』とお思いになって、「この扇は私がいただいていいですね。(代わりに)犬を差し上げましょう。亰にたくさんいますから取り寄せて、その時にでも。」とおっしゃって、黄金で作った犬の香箱をお与えになって、「姉君にお見せ下さいね。」とおっしゃったので、(女君の部屋に)持ってお入りになるのを、母君はいっそうおかしいとお思いになって、「私にも見せなさいよ。」と取ってご覧になると、『・・・ X さればよ・・・あぁやっぱりだわ。昨日の琴の音を道しるべにお逢いになったんだわ。』とお思いになるが、『気づかないそぶりをしておきましょう』とお気持ちをお隠しになっている。弟君が姉君のところにいらしてお見せになると、「これは私がもらいますよ。」と取り上げなさって、(弟君は)「この犬を姉君に(と殿が仰いましたから)。」とおっしゃるので、「殿が犬をくださるはずという私の言葉が間違うはずはありませんからね。」と、蓋をとって中をご覧になると、

「C 別れた今朝は心が乱れたとしても、今宵また逢おうと言ったことは忘れてはいけませんよ」とある。

女君は惜しくはお思いになられたが、「人が見たら困る。」と掻き消しておしまいになる。
 母君は、『このまま黙っているのも心苦しいわ』と、右近をお呼びになって、「今夜は殿がおいでになりますよ。よく準備なさってね。わが一族の将来がかかっていますからね。」とおっしゃるので、右近は『あぁ思った通りだわ。今朝からの姫君の様子と言い、昨日の琴を途中から想思恋に弾きかえなさったのも、気がかりだったのよ』と思って、(それでも)『実は』とも言わずに、几帳をかけわたし、隅々まで塵を払っていると、(当の女君が)「こんな草深い庭の露をかきわけて訪れる人もいないのに、それほどまでにしなくてもいいでしょうに。」とおっしゃるので、「・・・Y 蓬の露は払はずとも、御胸の露は今宵晴れなんものを・・・蓬の露は払わなくてもお心のもやもやは晴れることでしょうねぇ」と微笑むと、女君はとても恥ずかしいとお思いになるのだった。



この話の女君は、嫁入り前だから、15~17歳くらいなんだが、こんなふざけたもんを高校生の試験問題にしてもいいのかねぇ。
by obakeland2008 | 2013-01-23 21:55 | センター試験 | Comments(0)
センター試験を解いてみた。
久しぶりに入試問題を解いた。
d0150949_19191260.jpg

新聞を使ったから、活字が小さくて、ただでさえ集中力がないのに、大問の最初が小林秀雄の漢字が多い文章だったから、のっけからくじけそうになってしまった。

が、何とか小一時間で解き終えた。評論・小説・古文・漢文を80分で解くのは、普通の高校生には難しいんじゃないかなぁ。

で、結果?教員としては、惨敗だった。小林秀雄で2問、訳の分からん、つまらん独りよがりの私小説で1問間違えた。まぁ2問はアタクシの不注意なんだが、1問はなぁ、明らかに作成者の深読みだぜぇ。


古文は、「松陰中納言物語」という室町時代に書かれた(検索して知ったんだわ)ものなんだが、代ゼミも東進も「やや難」という評価だった。まぁ真面目に字面だけを追うと難しいかも知れんが、設問の前説から状況を確認して、登場人物を書き出して置けばそんなに難しくはないはずだ。まぁ、オレはそんなことはせんが・・・。


しかし、こういう肉体関係が色濃く描かれた文章は、教育的にはどうなんだろか・・・。雅(みやび)な・・・今回は鄙びた(ひなびた・・・片田舎の)千葉が舞台なんだが・・・古典の世界だと許されてしまうのかのぅ。


今回の問題だって、一晩愛を交わした男女が、「また今夜もね」って、約束を交わすってぇ、しょうもない場面だぜぇ。


そして、漢文は歴代の問題の中でもかなり簡単なんじゃないか?もともとセンターの漢文は、選択肢がイケてないから、それがそのまま強力なヒントになってるからな。



さて、問題を解き終えて、ひょいと裏を見ると、ワシの出た大学の一面広告だった。それが、思わず腰が砕けるほどの脱力感漂う代物で、「あぁぁ現今の学生の雰囲気はこーなのかぁ・・・。」と、しばし呆然としてしまった。
d0150949_19534328.jpg

d0150949_19535659.jpg

創立130年でこれかぁ・・・。
by obakeland2008 | 2013-01-20 19:58 | センター試験 | Comments(0)