人気ブログランキング |
続きの話を二つ
まずは、昨日の大学時代の話の続き・・・。


源氏物語の講義の次の日から、キミノブはきっちり姿を消してしまった。風の噂で郷里の大分に帰って療養しているとかで、クラスの幹事が寄せ書きなんぞを集めていたように思う。もちろん、オレはそんな愚にもつかんものはパスしたに決まっている。そして、また秋風が吹くようになったころ、ひょっこりとキミノブが姿を現した。一年前の小柄だけれど筋骨隆々とした体型は、コロコロとした小太りに変わっていた。で、オレは、どーしたことかその日キミノブのアパートに泊まりに行くことになってしまったんだわ。六畳一間に小さなキッチンがついている当時としては普通のモルタルのアパートの一室で向かい合ってビールを飲み始めたんだが、ぽつぽつと語り始める彼の口からは、厳格なクリスチャンの父親との葛藤、兄がそのせいで自殺したこと、自分が兄の後を追いそうな恐怖、一年に亘る入院生活なんぞが、かなりの時間をかけて絞り出された。それが、酒のアテはオレが柿の種で、あいつは柿の種と薬・・・・。クッキーの箱に実に色とりどりの何十種もの薬が並んでいて、オレは心の中でこーゆー状況に陥ってしまった自分の軽率さを呪いながら、帰るきっかけを探し続けていた。そのうち、彼の黒目があちらこちらとめまぐるしく動き始めて、口調も早まってきて、実に申し訳ないとは思うんだけれど、オレは気味が悪くて気味が悪くて、一刻もはやくその場を逃れたくて仕方がなかった。

それでもなんとか堪えてビールを飲み続けていたんだが、ちょいとこの部屋が変わったしつらえで、普通はトイレに行くには部屋を一度出て廊下を通ったり、狭いスペースでも部屋とのくぎりにちょっとした板の間があったりするものだが、そこは畳の部屋にいきなりトイレの戸がついていた。しかも、昔ながらの組み取り式だから、臭いがダイレクトに漂ってくる、と言うよりは部屋全体がほんのりと臭い。でまぁ、オレがちょいとそのことを口にすると、急に思いつめたような表情になって、「臭いかぁ。臭い?臭いかぁ・・・。」とブツブツ言い始めて、止まらなくなってしまった。いっくら打ち消しても聞く耳を持たずに、別の話題を振ってもすぐに部屋の臭さに戻るという迷宮状態に入り込んでしまった。

その晩は、泊まっていけというキミノブを振り切って、どーにかこうにか脱出したんだが、なぜだか記憶がそこで途切れている。もしかすると、不安な心持のまま泊まったのかもしれない。

そして、そのあとの彼も全然記憶にない。こっちも2年から入会した研究会の活動が忙しくなってきていたから、それまでのクラスの友人たちからも距離を置かざるをえないような生活で、ましてやそう親しくない男の動静には気も配らなかったんだろう。

しかし、あいつ、どーしてんだろか・・・。そもそも卒業したのだろうか・・・。こっちも大学時代の友人たちとは疎遠になってしまっているから、確かめる術もないし・・・。





で、その前の暴走トラックの話。

勤め先からの帰りに、西船橋の南口側の横断歩道を通り過ぎたときに、対向車線をえらい速度で走ってくるトラックとすれ違って、そのあとトラックが凄まじい勢いでクラクションを鳴らし始めた。振り向くと、横断歩道を渡り始めた人々がびっくりして途中で立ち止まっている。なんと、横断中の人間に向けてクラクションは鳴らされたらしい。ひどいなぁ・・・と思ったその時、どこからともなくサイレンを鳴らして白バイが走り始めて、トラックを停車させたんだわ。天網恢恢疎にして漏らさず!!うぅぅぅむ、これほど胸がすっきりした瞬間は近来稀だ。オレは思わず、自転車をUターンさせて、現場を見に行ってしまった。運転者は、いやいや想像した通りの、チンピラ風情の短髪にヒゲを生やした30男だった。


しかし、こーゆー輩の手にかかっては、車は実に凶器そのものだな。自転車に乗るのもかなり危険なことかも知れん・・・と考えてしまった。
by obakeland2008 | 2011-10-23 17:32 | 國學院大學 | Comments(0)
名前
URL
画像認証
削除用パスワード


<< 「関西風 出し巻き卵」を焼いた。 大岡昇平の『ながい旅』を借りた。 >>